千羽鶴と円覚寺

©2004 関 健一

     千羽鶴 森の夕日 三 より
 北鎌倉の宿で太田未亡人と泊まった歸りの電車から見た夕日が、菊治の頭にふと浮んだ。
 池上の本門寺の森の夕日だった。

        横須賀線
 今の横須賀線は昔とルートが違い、旧貨物線を走るので池上の本門寺は見えない、2階からの眺めは良いのだが。


01

 

     千羽鶴 森の夕日 二 より
 昨夜、ちか子は北鎌倉まで歸るので、稲村令嬢といっしょに出ていったが、

        北鎌倉駅
 北鎌倉駅はホームに昔の雰囲気が残っているようだ。小津安二郎の映画でも度々登場するが、その映像が現在の風景に重なる。


02

 

     千羽鶴 千羽鶴 三 より
 線路を渡り、北鎌倉の驛 を通り過ぎて、圓覺寺とは反對の山の方に歩いてゐた。

       円覚寺前の踏切
 今”反対の山の方”から円覚寺に向かって踏切を渡っている


03

 

     千羽鶴 千羽鶴 一 より
 鎌倉圓覺寺の境内にはいってからも、菊治は茶會に行かうか行くまいかと迷ってゐた。時間にはおくれてゐた。

       円覚寺総門
  大きなお寺なのに総門はこじんまりとしている。暑い日だったが、木陰を渡る風がここでは涼しかった。

 
04

 

      千羽鶴 千羽鶴 三 より
 山門の蔭に太田夫人の立っているのが、遠くから見えた。
 とっさに菊治は道を避けようとして、あたりを見廻した 。左右の小山に上がったら、山門のところを通らずにすみそうであった。

       円覚寺山門
  総門の先石段をあがると立派な山門がある。総舞台のようなつくりで、下は素通しだった。天明三年(1783)の再建である。その先に方丈[06]がある。


 05

 


06

 

      千羽鶴 千羽鶴 一 より
 圓覺寺の奥の茶室で、栗本ちか子の會があるたびに、菊治は案内を受けていたが、父の死後一度も来たことはなかった。

       円覚寺仏日庵
  国宝の舎利殿の先にある仏日庵(ぶつにちあん)は北条時宗の廟所[07の奥に見える]。千羽鶴の茶室のモデルと言われている茶室烟足軒(えんそくけん)が境内にある[08の上に見える]。


07

 


08

next             index