©2004 関 健一

本郷真砂町

本郷弓町

    ”婦系図” 前篇 矢車草 十

「真砂町の、」
「や、先生か。」

    ”婦系図” 前篇 巣立ちの鷹 六十一

義理にゃ叶はねえ、御新造の方は、先生が子飼から世話に成った、真砂町さんと云ふ、大先生が不承知だ。聞きねえ、師匠と親は無理なものと思へ、とお祖師様が云つたとよ。

  主人公早瀬主税の先生酒井俊藏は本郷区真砂町に住んでいるので「真砂町」「真砂町の先生」としてよく知られています。今の文京区本郷4丁目ですが、春日通 を挟んだ南側の旧弓町あたりとともに昔の情緒がここかしこに残っていてうれしくなりました。




 

柳橋

    ”婦系図” 前篇 電車 三十五

 我が酒井と主税の姿は、此の広小路の二点となつて、浅草橋を渡果てると

    ”湯島の境内”

お蔦: 私死にます、柳橋の蔦吉は男に焦(こが)れて死んで見せるわ。

 ヒロインお蔦は、柳橋の芸者で主人公主税に落籍されて新居を持ったところで物語は始まっています。
 柳橋は江戸中期から栄えた花柳界で、新興の新橋に押されながらも芸の確かさで、江戸以来の地元の人に人気があったそうです。今では舩宿は残っているけれど花街は見る影もありません。
 神田川が隅田川にそそぐ直前の最後にかかる橋が柳橋、現在の橋は昭和4年(1929)に架けられたものです。

 

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